AIは抽象化の実需要をむしろ下げる
「IaCで高階関数は本当に必要か」という問いは、AI時代の観点から見直すと必要性が上がるのではなく下がる方向に傾く。IaCで実際に必要とされる三つの抽象化のいずれも、AIが肩代わりできるからである。
- 値計算の再利用はAIが肩代わりできる: 「環境別ポート計算ヘルパー」を関数で書く代わりに、AIが一括展開した値を生成できる。高階関数の実需要はむしろ下がる
- 構成のテンプレート化もmoduleで十分: AIがmoduleを組み合わせる形で構成を生成できる
- 多数生成も
for専用構文で十分: AIがforの専用構文を生成するのは難しくない
つまり、抽象化機構の主用途である「人が繰り返しを手で書きたくない」という需要は、生成側がAIになると弱まる。一方で、生成されたコードを読んで検証する側のコストは、抽象化が厚いほど上がる。需要と負担が逆向きに動く。
この観点から、Bicepが高階関数を入れていない設計判断はAI時代でむしろ正当化されやすい。表現力を絞ったDSLの方が、生成・読解・修正のすべてでAIにとって扱いやすいからである。
したがって高階関数の導入は、構造的整合性(ハイブリッド象限への合流)とAI時代の機械可読性(絞り込みを保つこと)の間でトレードオフを取る設計判断になる。どちらが正しいかは、「高階関数を入れたDSLはAIにとっても扱いやすいか」「属性値計算の自由度を上げても静的監査は成立するか」を実際に入れて使ってみないと分からない。