技術評論社様よりご献本頂いてたのですが、感想を書くのがすっかり遅くなってしまいました。
タイトルの通り、統合監視ソフトウェア Zabbix について書かれた本です。和書では初の Zabbix 本ですね。(ですよね?)Software Design plus シリーズの第1弾ということで、今後のシリーズ展開がとても楽しみです。
本書の目次は以下のようになっています。
そもそも監視とは何か、といった話から、Zabbix の概要、インストール、設定、運用、大規模システムの監視と、Zabbix を知り実際に利用するために必要な知識がほとんど網羅されているのではないかと思います。Zabbix は機能豊富で全体像がすぐには掴みにくいソフトウェアなので、こういった形で一冊の本にまとまっているのは非常にありがたいですね。
Zabbix で特にいいなー、と思ったのは、リソースグラフの表示範囲や日時を自由に変更できるところ。自分が使ったことがあるリソースモニタリングツールだと、直近のデータ1時間分、といった表示はできても、過去のある時点の詳細を見たいと思った場合に、その時点のデータは1時間分ではなく、1日分や1週間分といった非常に大雑把なデータになってしまい、こちらが望む細かい粒度でのリソース動向を追うことができないという不満があるけれど、Zabbix であればこちらが望む形でリソースグラフを確認することができそうです。デモサイト でもこの辺については確認できます。
逆に Zabbix のあまり好きではない点は、機能が豊富すぎるところ。稼働監視、リソース監視、アプリケーション監視をすべて網羅していて、オールインワンなソフトウェアを求めている人にはとてもいいソリューションだけれども、既に Nagios のような稼働監視ソフトウェアを利用していて、そこにリソース監視ソフトウェアを導入したいとか、あるいはその逆パターンとか、そういった場合には、既存で導入しているソフトウェアと機能が被る面が多いので導入しづらいかな、という懸念があります。
また、自分は目的特化した小さなソフトウェアを組み合わせて必要に応じてカスタマイズするのが好きなので、Zabbix のような大きなソフトウェアの導入はためらってしまいますね。
とは言っても、本書を読んで Zabbix は非常によくできたソフトウェアだと思いましたので、統合監視ソフトウェアの導入を検討している方にはとても参考になると思います。